魔法の水晶玉が発明されてからは、人々は資源について心配する必要がなくなった。
科学者たちは、その水晶玉を発明するために何年もかけてきた。国民には極秘にしていたが、政府もそれに大きな財力をかけていたのだ。それは馬鹿にはならない金額だったが、水晶玉ができてしまえば問題ない、政府は、世界中に向けて魔法の水晶玉について知らせた。
「我々は、何年もかけて、この魔法の水晶玉を開発してきた。そしてついに完成したのだ」
話し手は、水晶玉の中に手を突っ込むと、サッカーボールくらいの大きさでふわふわと浮かぶ水を取り出していた。また、別の手を使って、バチバチと光る電気らしきものも浮かべていた。
「この魔法の水晶玉からは、電気、火、水、などの、あらゆる自然現象を取り出すことができる。いくらでも無尽蔵にだ。これにより、もはや、我々がエネルギー問題に悩む必要はなくなるのだ!」
水晶玉のことはすぐさま世界中に知れ渡り、皆は喜んだ。
人々は資源不足に困ることはなくなり、ほとんどのエネルギーが水晶玉によって提供されるようになった。魔法の水晶玉からは、電力や水、さらには、汚れていない酸素や栄養のある土まで取り出すことができた。人々は、無限に出てくる資源をつぎつぎに使ってゆくのだった。
また、貧困はなくなり、科学や教育はますます進化した。さらに、十分にゆきわたるほどの資源があるのがわかっていると、それが人々を安心させて、国レベルでの心配事もずいぶんと減った。
その日、ふと人々が空を見上げると、巨大な何かが太陽の光をさえぎっている。
見ると、大きな大きな手が、勢いよく海の水をさらってゆくのだった。
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