2013年4月2日火曜日

完璧主義者



男はまいにちゆるりと生きていた。

昼から魚を釣り、ビーチで休み、愛する彼女とすごす。週に3回仕事をして、必要なものだけ買えば、男はそれで満足だった。

皆が必死になってまで幸せを追い求めるわけが男にはわからなかった。ちょっと心を広く持てば、幸せになることはできる。完璧である必要はないんだ。



ある日、黒い服を着た男がやってきて、こう言った。

「あなたに働いてもらわなければなりません」

男は答える。

「ああいいとも」

彼には一切のこだわりがなかったので、断る理由もなかった。






それから男はせっせと働いた。今までの生活とは全然違っていたが、あそれでも男は満足だった。しかし、何年も多くの時間を費やしていると、さすがに疲れてくる。男は言った。



「少し休ませてはくれないか」

黒い服の男は返す。

「わかった。少しだけだぞ」

黒い服の男がくれたのは、ほんの少しの暇(いとま)だった。

「これっぽっちか?私はもっと時間が欲しいのだ」

男が訴えると、黒い服の男は答える。

「完璧じゃなくてもいいと言っていたのはあなただろう?



男はハッと思いだした。そうだ。これこそが自分が望んだ生活だ。

完璧じゃなくてもいい、そう繰り返し呟き、男は働き絶望する。





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