2013年4月4日木曜日

滅びゆく町



「滅びゆく町」などとも呼ばれるが、私はこの国が好きだった。




細く長く続いた橋を渡り、山を登ると、私たちしか知らない町がある。



ここにいれば、誰にも邪魔されることはない。



先人達が作り上げたこの街は、古くから、私たちだけの場所だったのだ。







それが、最近ではおかしなやつらが訪れるようになった。



誰も許可などしていないのに、我々の国へとずかずかはいってくる。



奴らは街の姿を作り変え、壊して行った。



本当にとんでもないやつらだ。おまけに、何を言っても通じないし、何を言っているのかもわからない。私たちを蹴り飛ばそうとすることさえある。私はあいつらが嫌いだった。






かっかするなよ。悪い奴らじゃないぜ。



若いものはそう言うが、分かっていない。



ここは、神聖な場所なのだ。



私は奴らをにらみつけ、唸り声を上げる。






「見て。あの子かわいい」

「本当だ」

「やっぱり、たくさんいるね」

「なんて言ってるのかな」

「餌が欲しいんじゃない?

猫は、こっちを見ながら、ぐるるる、と鳴いていた。



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