2013年4月11日木曜日

火の国



火の国は、強大な軍事力を持っていた。




初めは、他の有力な国たちと争う一勢力でしかなかったが、戦略と運で徐々に力を伸ばし、彼らはついに、世界最大の国家を作り上げたのだ。



火の国は、ある計画を遂行するために、「最強の軍事兵器を作り上げた」と世界に公言する。



その計画とは、「他の国の軍事力を駆逐する」計画だ。



火の国の計画はシンプルだった。

まずは、小さいことから始める。例えば、ある国が、他の国に戦争を仕掛けようとしている時には、全力の力でそれをねじ伏せるのである。世界最大の軍事力には、当然だれもかなうはずはない。圧倒的な力によって、火の国は次々と他の国の兵器を滅ぼしていった。

火の国の兵力は、確かにすさまじいものであった。最先端の科学力を駆使した、大量のロボット兵器、あたりを一瞬で荒野に変える核爆弾、火の国は、これらを躊躇なく使い、世界を恐れさせた。

世界が戦争をしにくくすることで、火の国には更なる権力がつくことになる。
そうして、世界中から全ての兵器が消えてゆくのに、そう時間はかからなかった。



火の国の勢いはそれだけにはとどまらない。

次に手を出したのは、各国の治安である。犯罪の多い国には、火の国のロボット兵器が出向き、徹底的に犯罪者を駆逐するのだ。これには、かなりの批判があったが、すでに、火の国の覇権を止めることは、どこの国が力を合わせようとも不可能であった。



やがて、世の犯罪率は極端に減少し、「平和」な世界ができあがった。火の国はこれを理想の世界と呼んだ。



理想の世界は長い間続いたが、あるときから、おかしなことが起こるようになった。
  
「火の国各地で、犯罪率が上がっています」
  
そんなばかな、と火の国の誰もが思ったが、今までほとんど0%に近かった犯罪率は、20%までに伸びていた。

「いったいどういうことなんだ」

「わかりません。しかし、捕まった犯罪者たちは、いずれも身元が判明しないとのことです」

「なんだと。火の国の人間ではないということか」

「おそらく」

「なんだというのだ」

犯罪率は、堰(せき)を切ったように増え始め、あっという間に制御できなくなった。捕まえても捕まえても犯罪者が出てくる。どうにかしないといけない。火の国は焦った。



そんなとき、ある国から連絡が入る。

「火の国さん。おたくの犯罪者が著しく増えているようで、このままでは、我が国にも不安が及んでしまいます。そちらの軍事兵器を使って彼らを一掃してもらえませんか」

「ばかな。自分の国だぞ」

火の国はそう言って相手にしなかったが、まもなく、全世界中から、同じような要請が来る。これまで、力は力で抑えるべきだとしてきた火の国には、言い返す言葉がなかった。



ついに、火の国はある決断を下す。



「このままでは、平和を保つことはできないと全世界一致で判断いたしました。火の国を核爆弾で消滅させます」



全世界中がにやりとほくそ笑む。突如火の国に現れた犯罪者たちは、世界中から集められた生贄だったのだ。



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【北朝鮮ミサイル速報】

ミサイルの搬入繰り返す 監視をかく乱か

  • ある消息筋は「米韓の疲労感を最大化して、情報をかく乱する狙いだ」との分析を示した。


「北は危険な一線に近づいている」米国防長官、備えは「完全だ」

  • ヘーゲル米国防長官は10日の記者会見で、弾道ミサイル発射の動きをみせる北朝鮮は「危険な一線に極めて近づいている」と述べ挑発の停止を要求した。一方で、米軍は「完全な準備ができている」と強調し、北朝鮮を強く牽制(けんせい)した。

  • 麻生太郎副総理兼財務相は11日の派閥の例会で、挑発行為を強める北朝鮮に関し「金王朝の3代目(金正恩第1書記)になってだんだん話がエスカレートし、昔と違って中国のコントロールが利かないような状況になりつつあると感じている」と述べた。

  • 国交省航空局は昨年12月のミサイル発射の際、落下予想海域周辺の上空を飛行する旅客機などに注意を促した。だが、今回は落下海域が不明。「これまでとは違い、具体的に動きようがない」という。


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